第8回勉強会 LGBT×世界
12月1日に、第8回勉強会「世界のLGBT事情」を行いました!
宗教や政治、文化等が異なる海外では、日本とはまた違ったLGBT事情があります。韓国・中国・ロシア・欧米・中東に関する事例をもとに、世界におけるLGBTを取り巻く情勢を学びました。
韓国
2017年5月24日、韓国の軍事裁判所は、同性愛関係を持ったとして男性兵士に対し実刑6か月と停職1年の有罪判決を下しました。また同年4月、NGO軍人権センターは、陸軍大将が軍内部の同性愛者を洗い出すよう指示していたと発表、この指示により40~50名の兵士が特定されました。また軍内部の同性愛者を見つけ出すために、出会い系サイトにおとりのプロフィールを掲載していたことも明らかになりました。
軍刑法92-6条
肛門性交やその他の醜行を行った者は2年以下の懲役に処す。
実はこの刑法は、同性愛を禁止するためではなく、軍という集団生活における乱れを統制するためにつくられた法でした。そのため「同性間による」という言葉は含まれていません。
この事例においては、軍刑法92-6条が違憲か合憲かというだけではなく、軍によって執拗に行われた捜査による人権侵害など様々な問題が山積しているようです。
韓国における同性愛嫌悪
韓国で宗教を信仰している割合は人口の53.1%、そのうち55.1%がキリスト教(プロテスタント・カトリック)を信仰しています。そのため、キリスト教の経典「旧約聖書」で同性愛が明確に禁止されていること、また儒教の「子孫を残せない同性愛は不道徳である」という考えから、宗教的な理由で同性愛嫌悪が多くあるようです。
中国
毛沢東時代
儒教の家族観を重視、同性愛者は弾圧や虐待などを受け、虚勢を強要されることも。
↓
多産を奨励した影響で人口爆発状態に。治安が悪化し、食糧難も発生。
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出生率低下を最優先課題にし、一人っ子政策を実施。
同性愛者は共産主義に都合のいい存在として位置付けられているようです。そのため、現在も問題となっている人口の高齢化が深刻化し、以前のような多産奨励政策を打ち出すようなことがあれば、同性愛者はまた切り捨てられるのではないか、という懸念もあります。
ロシア
2013年に「同性愛宣伝禁止法」が成立。この法案は、”非伝統的な性的関係”を未成年に広めることを禁じたもので、同性愛自体を禁止するものではありません。しかしこの法案ができたことからも分かるように、同性愛を認めているわけでもなく、実際にLGBT当事者900人を対象に行われた調査によると、約15%がLGBTであることを理由に過去10か月に何らかの身体的暴力を受けたと答えています。
正教会
モスクワ総主教であるキリル一世の言葉「もし同性婚を認めれば、小児性愛も蔓延するだろう」がBBCのドキュメンタリーで公開されたことをきっかけに、ロシア国内で同性愛者に暴力が向けられるようになりました。
イスラム圏
2016年6月12日、アメリカ・フロリダ州オーランドにて、イスラム教過激派の20代の男性オマール・マティーン容疑者がゲイバー・ナイトクラブ「パルス」を襲撃し銃を乱射、容疑者を含む50人が死亡、53人が負傷する事件が起きました。
上記のようなニュースの影響でイスラム教・イスラム国家は同性愛に非常に厳しいというイメージを持っている方は少なくないでしょう。ではイスラム教における同性愛観はどのようなものなのでしょうか。
イスラム教における同性愛
経典「コーラン」では「二人の男が互いに不道徳な行為を行った場合には、その両方を罰する」と記載されています。しかし、姦通罪には「鞭打ち100回の刑に処す」などと記載されているのに対して同性愛に関しては具体的な刑罰が記されていないため、預言者モハメッドは同性愛に対し寛容な態度であったともされています。
イスラム原理主義が台頭する以前のイスラム社会は同性愛に非常に寛容でした。欧米キリスト教圏で同性愛が厳しく弾圧されていた19世紀から20世紀半ばにおいては、同性愛に寛容なイスラム世界は天国で、イギリスのE・M・フォスターやオスカー・ワイルド、フランスのアンドレ・ジイド、アメリカのポール・ボールズやウイリアム・バロウズ、等の作家を含む多くの欧米人同性愛者が北アフリカなどへ渡りました。
世界には、同性愛・同性愛行為をした者に刑罰を与える国・地域もあります。刑罰は罰金や懲役10日といった軽いものから終身刑や死刑といった重いものまで、国や地域によって様々です。
最悪の場合死刑とする国・地域には、モーリタニア・スーダン・イラン・サウジアラビア・イエメン・アフガニスタン・パキスタン・カタール・イラクやISIS圏、またナイジェリア北部やソマリア南部の一部地域などがあります。
ナショナルジオグラフィックより
勉強会を終えて、「同性愛が違法となり最悪死刑となる国があるなんて驚きだ」という声が多くあがりました。また、日本でのLGBTを取り巻く状況を学んだ後であったため「日本におけるLGBTを取り巻く状況も厳しいが、世界ではその比にならないくらいの厳しい状況が待っていて、早くすべての国のすべてのセクシュアリティの人々が幸せに暮らせる日が来てほしい」と述べるメンバーもいました。
長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
2017年12月1日 創価 Rainbow Actions
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